おすすめ本の紹介 まとめ⑥ー⑩

こんにちは。みなさんお元気ですか?

この記事では私がおすすめしたい本を紹介していきたいと思います。

学生時代はほとんど本を読まなかった私が、突如として本を読み漁りだし(なぜ?)、本が好きすぎて書店で働くまでになってしまった(色々あり今は別の仕事してます)。今では本を読んでいないと何か落ち着かないくらい本に依存して生きています。なぜ人は本を読むのか、その理由は人それぞれだと思います。私が本を読む理由はなんだろう、単純に面白くて夢中になって読んでるだけかな。。

それでも、あえて言うならば素敵な本に出会えた時、自分の中にある世界が変わり広がりました。本は直接自分を助けてくれません。ですが困難な時に踏ん張れる力をいつのまにか与えてくれていました。美味しい食べ物が身体の栄養ならば、本や映画などは心の栄養といったところでしょうか。ここではそんな自分にとって大切な本を紹介していきたいと思います。

⑥「完全なる証明 100万ドルを拒否した天才数学者」

マーシャ・ガッセン著

(ノンフィクション)

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

内容紹介

一〇〇万ドルの賞金がかけられた数学の七つの難問のひとつ「ポアンカレ予想」の証明。今世紀中の解決は到底無理と言われたその証明が2002年にインターネット上にアップされる。だが、世紀の難問を解いたその男は、フィールズ賞を拒否し、研究所も辞職、数学界からも世間からもすべての連絡を絶って消えた。ペレルマンと同時代に旧ソ連で数学のエリート教育をうけた著者だからこそ書けた傑作評伝ノンフィクション。(アマゾンより)

感想

数学界の難問ポアンカレ予想を解き明かし、それによって受けられるはずだったフィールズ賞、100万ドルの賞金がもらえるミレニアム賞の受賞を拒否したロシア人数学者グレゴリー・ペレルマン。

彼は1967年旧ソ連の社会主義体制下に生まれ、その当時は子供全員が同じ格好で同じ教育を受けていた。ペレルマンはエリート数学少年としてその日常を抜け出し、エリート教育を受けた。

当時のソ連はユダヤ人差別が激しく、ユダヤ人だったペレルマンがこのようにエリートになり数学者として成功することは本当にまれなケースだった。

それぐらい彼は飛び抜けて頭が良く、問題を出されて解けなかったところを見たことがないと言われるほどだった。そのため周囲の教育者たちは、ユダヤ人である彼になんとか良い教育を受けさせようと奮闘し、ペレルマンは何不自由なく天才数学者としての道を歩んでゆく。

しかし、こうした周りの庇護を受け続けて成長したことが、自分が数学の問題を解くことでおのずと道は開け自らの思い通りになる、というペレルマンの人としての考えが作られていったのかもしれない。

ツメは切らず伸び放題、髪はボサボサ、いつも母親を連れている。自分が間違っていると思うことには反論し、時には声を荒げる。変わり者ばかりの数学者の中でも目立っていた。

やがてペレルマンは外界との接触を徐々に減らし始め、密かにポアンカレ予想の証明をするための研究を始める。そしてある日ネット上にその完全な証明をアップし、学界は大騒ぎになる。

この証明が本当に正しく完全なものなのか、どこか欠点、誤りはないか、同分野を研究してきた数学者たちが査察する。そして1年後、このペレルマンの証明に欠点は無いとの結果が出る。

この世紀の難問を解読したことで、ペレルマンは瞬く間に世界中で話題になる。しかしペレルマンは100万ドルの賞金がもらえる賞を受け取らなかった。

ペレルマンがこの世紀の難問を解いたことで見えたもの、それは、周りの人間たちの欲望、地位や名声を欲しがる者、賞金を我が物にしようという者、そんな人間の醜さだったのだ。ペレルマンは何もかも信じられなくなり、これ以降さらに外界との接触を断つようになっていった。

「天才」それは誰もが羨む才能を持ちこの世に生まれたもの。それゆえ人と違い、理解されないことに苦しむ。彼はその後母と二人でつつましく暮らしたそうな。そのペレルマンの心に今あるのは孤独なのか、安らぎなのか。

この本は、グレゴリー・ペレルマンを数学者としてではなく一人の人間として捉えている。そこにこの本を出版した意味はあったのではないかと思う。

⑦「終わらざる夏」浅田次郎 著 (小説)

内容紹介

1945年、夏。すでに沖縄は陥落し、本土決戦用の大規模な動員計画に、国民は疲弊していた。東京の出版社に勤める翻訳書編集者・片岡直哉は、45歳の兵役年限直前に赤紙を受け取る。何も分からぬまま、同じく召集された医師の菊池、歴戦の軍曹・鬼熊と、片岡は北の地へと向かった。―終戦直後の“知られざる戦い”を舞台に「戦争」の理不尽を描く歴史的大作。第64回毎日出版文化賞受賞作。(アマゾンより)

Robert ArmstrongによるPixabayからの画像

感想

この国に生きる者として、知っておかなければならない悲劇がある。

8月15日終戦後に北方領土にソ連が攻め込んできた。日本兵は戸惑ったに違いない。日本は降伏したのに、戦争は終わったのになぜ戦わなければいけないのか?ここで戦うことに意味はあるのか?

しかし、彼らは戦った、愛する人の住むこの国を守るために。どれだけ自分たちが優勢に立とうとも「勝利」はないとわかっていても。

そして対するソ連兵もそれは同じ、前線で戦う兵士たちは上層部の指示に従い攻め込んだだけ。彼らも同じように「なぜ?」と思っていたに違いない。そんな二つの部隊が国のエゴによって殺し合いをする、その情景を思うと悲しさで胸が詰まる。相手と対峙した時、彼らはお互いの目の中にその矛盾に満ちた想いをみたのだろうか。

8月15日で戦争が終わったような、そんな簡単な歴史しか学校では習わなかった。そんな年表に載らなかった戦いがもっとたくさんあったのだろう。私たちはその歴史の真実にもっと目を向けなければならない。

解説の梯さんの言葉も紹介します。

「本書を読みながら、おびただしい人々の声を私は聞いた。そして幾度も涙した。戦場で、そして極寒のシベリアで、命を落とした人々の死は悲惨なものだったかもしれないが、それは彼らの人生そのものが悲惨だったことを意味しない。人が人である限り、どのような過酷な運命によっても損なわれることのない生命の輝きを持つことができる、そのことが胸にしみ通るように伝わってくる。戦争文学の傑作である。」

『ハンナ・アーレント – 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者』

矢野久美子著 (ノンフィクション)

内容紹介

『全体主義の起原』『人間の条件』などで知られる政治哲学者ハンナ・アーレント(1906‐75)。未曽有の破局の世紀を生き抜いた彼女は、全体主義と対決し、「悪の陳腐さ」を問い、公共性を求めつづけた。ユダヤ人としての出自、ハイデガーとの出会いとヤスパースによる薫陶、ナチ台頭後の亡命生活、アイヒマン論争―。幾多のドラマに彩られた生涯と、強靱でラディカルな思考の軌跡を、繊細な筆致によって克明に描き出す。(アマゾンより)

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

個人の感想

この本を読む前、自分は何かを知ること、深く考えることはどうしてこんなに辛くて苦しいものなのか、何も知らない方が楽に生きられるんだろうかと考えていた。でも自分の中で、良いことはないとわかっているのに知りたい、考えてしまうという矛盾があった。そんな時にこの本を読んで自分は救われた。たとえ辛く苦しいことがあろうとも、自ら考え納得し生きていく。それが人間なのだとアーレントは教えてくれた。そして全体主義に支配され思考することすらやめてしまった時、人間は人間で無くなってしまうということ。そして自分もその一部としてこの社会に組み込まれているという現実に気づかされた。人を人として扱わない、こんな世界で自分にできること、それは人が人であるために考え、主張することではないか。そしてそのためにあらゆる知識、経験が必要なのだと思った。

社会を変えるなんてエラそうなことは言えないけど、自分が社会によって変えられないために、今できることをしようと思った。

あとがきより

「アーレントと誠実に向き合うということは、彼女の思想を教科書とするのではなく、彼女の思考に触発されて、私たちそれぞれが世界を捉えなおすということだろう。自分たちの現実を理解し、事実を語ることを、彼女は重視した。考え始めた一人ひとりが世界にもたらす力を、過小評価すべきではない。私たちはそれぞれ自分なりの仕方で、彼女から何かを学ぶことができる。」

⑨「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」

オードリー 若林正恭著

内容紹介

前作『社会人大学人見知り学部卒業見込』から約4年ぶり、新作の舞台はキューバ!航空券予約サイトで見つけた、たった1席の空席。何者かに背中を押されたかのように2016年夏、ひとりキューバへと旅立った。慣れない葉巻をくわえ、芸人としてカストロの演説に想いを馳せる。キューバはよかった。そんな旅エッセイでは終わらない。若林節を堪能できる新作オール書き下ろし! (アマゾンより)

Alex RojasによるPixa

感想

大好きなオードリー若林さんのキューバ旅行記。社会主義の国キューバに行って、資本主義(新自由主義)について考える。社会主義=平等、資本主義=競争という一般的な構図の中で実際の社会主義国の内情を知るにつれ、あれ資本主義も悪くないんじゃないかと思ってしまった。

ただ自分が今生きているこの日本社会の価値観は、誰かが考えたこの資本主義(新自由主義)のもとにあるだけだということを理解しているかどうかがとても大切なんだと思った。じゃないとこの日本という国はとても息苦しい。お金持ち=幸せ、学校は毎日行く、学歴社会、会社なら上司のごきげんとり、売上げを毎年上げる、年功序列、世回り上手が出世する。などなど書いているだけで気分が悪くなってきた。

自分が生きる上で何を大切にして生きるか、その答えは誰かに強要されるものではなく、みんな自分自身の中にある。そう思った読後でした。

ユーチューブで観た尾崎豊がライブで言っていた「みんないろんな生き方があっていいと俺は思うんだ」が今心に響いている。

⑩「ペンギン・ハイウェイ」 森見登美彦著 (小説)

内容紹介

ぼくはまだ小学校の四年生だが、もう大人に負けないほどいろいろなことを知っている。毎日きちんとノートを取るし、たくさん本を読むからだ。ある日、ぼくが住む郊外の街に、突然ペンギンたちが現れた。このおかしな事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした―。少年が目にする世界は、毎日無限に広がっていく。第31回日本SF大賞受賞作。(アマゾンより)

Sue RickhussによるPixabayからの画像

感想

人が生きることは研究の連続なんだと思った。

これは小学4年生の一人の少年の研究発表小説である。

主人公のアオヤマ君は研究が好きで、いつもいくつかの研究を抱えている。宇宙のこととか、学校の裏に続く川の源流について、歯科医院のお姉さんのこと、おっぱいについてなどたくさんだ。

そんな彼の街にペンギンが突如としてあらわれる。研究好きのアオヤマ君がこの現象を調べないわけがない。ここから物語は少年たちの冒険へとつながっていく。少年たちは様々な現象を調べ、それを記録し、謎を解き明かしていく。今思えば確かに子供のころは、これに近いようなことをやっていた気がする。なぜ?なぜ?って知らないことを知りたいって思ってた。いつからだろう、なぜ?ってあまり思わなくなったのは。大人になっても変化し続ける人って、ずっとなぜ?知りたいって思っている人なんだろうなと思った。

「世界の果てを見ることは悲しいことでもある」とアオヤマ君のお父さんは言った。

ただそれを見て、それでもその悲しみを抱えながら生きていける、それが大人になるってことなのかなと読んでいて思った。子供たちが主人公の小説なんだけど大人が読んでも面白い小説でした。

いかがでしたか、どの本も本当におすすめの本ばかりなので是非読んでみて下さい。ではまた次回。

プロフィール
桃あんこ姫&とみきち

夫婦で思い付いた事を書いています。
夫 とみきち 元書店員
本好き、サッカー(アーセナル)好き。
自分が読んできておすすめしたい本を紹介していきます。
アーセナルについても個人的な感想を書いています。

妻 桃あんこ姫
管理栄養士、料理好き、本好き、美容の事や育児、日々の事を載せたいと思います。

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