おすすめ本の紹介 まとめ⑪-⑮

こんにちは。みなさんお元気ですか?

この記事では私がおすすめしたい本を紹介していきたいと思います。

学生時代はほとんど本を読まなかった私が、突如として本を読み漁りだし(なぜ?)、本が好きすぎて書店で働くまでになってしまった(色々あり今は別の仕事してます)。今では本を読んでいないと何か落ち着かないくらい本に依存して生きています。なぜ人は本を読むのか、その理由は人それぞれだと思います。私が本を読む理由はなんだろう、単純に面白くて夢中になって読んでるだけかな。。

それでも、あえて言うならば素敵な本に出会えた時、自分の中にある世界が変わり広がりました。本は直接自分を助けてくれません。ですが困難な時に踏ん張れる力をいつのまにか与えてくれていました。美味しい食べ物が身体の栄養ならば、本や映画などは心の栄養といったところでしょうか。ここではそんな自分にとって大切な本を紹介していきたいと思います。

⑪「月光の東」 宮本輝著 (小説)

内容紹介

「月光の東まで追いかけて」。出張先のカラチで自殺を遂げた友人の妻の来訪を機に、男の脳裏に、謎の言葉を残して消えた初恋の女性の記憶が甦る。その名前は塔屋米花。彼女の足跡を辿り始めた男が見たのは、凛冽な一人の女性の半生と、彼女を愛した幾人もの男たちの姿だった。美貌を武器に、極貧と疎外からの脱出を図った女を通し、人間の哀しさ、そして強さを描く傑作長編小説。(アマゾンより)

JoeによるPixabayからの画像

感想

久々に一気読みしてしまった。名作でした。

作中何度も出てくる「月光の東」というキーワード。塔屋米花にとってそれは何を意味していたのだろうか?

複雑な家庭環境で育った絶世の美しさをもつ米花。米花はただ幸せになりたかっただけだと思う。でも求めれば求めるほどその光は離れていく。その光は砂漠の蜃気楼のように見えてはいるけれど辿り着けない。米花に惹かれた男たちは、その光を米花につかませてあげたくて協力するが、一緒に疲弊していく。自殺した加古慎二郎の妻美須寿が日記に記した言葉が幸せになれる人となれない人の考え方の違いをあらわしているような気がする。

「もう30分近くも、私はこの焼き物を見つめている。程良い大きさの器の底から放たれる仄かな光を見ていると、なぜか、祈りの叶う場所というものが、私の身近なところに存在するような気がしてくる。近くにあるのに、見えない場所・・・・。私は、祈りの叶う場所を求めようとは思わない。祈りの叶う人間になりたいと思う。」

そして加古慎二郎はなぜ自殺したのか

その死に塔屋米花は関係している。加古にとって米花はどんな存在だったのか、まぶしいほどの光なのか、それとも引きずり込まれるような闇だったのか。

どちらにせよ1度それに触れたものは、それなしでは生きていけなくなるのだ。それほどの引力が米花にはあったのだろう。加古は、そうなることは感覚的には理解しつつもそれでも米花を幸せにしたいと思ったのだと思う。その気持ちはわかる気がする。

⑫「極夜行」 角幡唯介 著 (ノンフィクション)

本の紹介

ノンフィクション界のトップランナーによる最高傑作。

ヤフーニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞、大佛次郎賞、W受賞!

探検家にとっていまや、世界中どこを探しても”未知の空間“を見つけることは難しい。大学時代から、様々な未知の空間を追い求めて旅をしてきた角幡唯介は、この数年冬になると北極に出かけていた。そこには、極夜という暗闇に閉ざされた未知の空間があるからだ。極夜――「それは太陽が地平線の下に沈んで姿を見せない、長い、長い漆黒の夜である。そして、その漆黒の夜は場所によっては3カ月から4カ月、極端な場所では半年も続くところもある」(本文より)。彼は、そこに行って、太陽を見ない数カ月を過ごした時、自分が何を思い、どのように変化するのかを知りたかった。その行為はまだ誰も成し遂げていない”未知“の探検といってよかった。

シオラパルクという世界最北の小さな村に暮らす人々と交流し、力を貸してもらい、氷が張るとひとりで数十キロの橇を引いて探検に出た。相棒となる犬を一匹連れて。本番の「極夜の探検」をするには周到な準備が必要だった。それに3年を費やした。この文明の時代に、GPSを持たないと決めた探検家は、六分儀という天測により自分の位置を計る道具を用いたため、その実験や犬と自分の食料をあらかじめ数カ所に運んでおくデポ作業など、一年ずつ準備を積み上げていく必要があった。そしていよいよ迎えた本番。2016年~2017年の冬。ひたすら暗闇の中、ブリザードと戦い、食料が不足し、迷子になり……、アクシデントは続いた。果たして4カ月後、極夜が明けた時、彼はひとり太陽を目にして何を感じたのか。足かけ4年にわたるプロジェクトはどういう結末を迎えたのか。
読む者も暗闇世界に引き込まれ、太陽を渇望するような不思議な体験ができるのは、ノンフィクション界のトップランナーである筆者だからこそのなせる業である。(アマゾンより)

感想

夜でも電球をつければいつでも明るくなる。夏はクーラー、冬は暖房器具で快適な温度にいつでもできる。食べ物は肉でも野菜でもラーメンでもスーパーにいけばいつでも買える。吉野家に行けばすぐ熱々つゆだくの牛丼が出てくる。欲しいものがあればスマホでポチッとすれば大抵のものは手に入る。知りたいことがあればネットで検索すればいくらでも出てくる。便利で何不自由ない世界を人類は作り上げてきた。なのに何か物足りない 、世の中の人は満たされていない。

その物足りなさを埋めるヒントがこの本にはあるかもしれないと読後感じた。

都会に住む人たちが自ら自然、田舎、アウトドアを求めている。「脱システム」というこの本のキーワードとなる言葉。

これから人類はよりテクノロジーを進化させていくだろう。テクロノロジーを駆使し、何もかもを効率化していく世界、人の作業はどんどんAI,ロボットに取って代わられていく。その中で人はどう生きていくのか。

角幡さんが生死をかけたからこそ、その体の奥底から生まれる言葉たち。その言葉にはその経験をしたものにしか生み出せない魂が宿っている。ただの冒険譚だけではない様々な世界がこの本には詰まっている。

⑬「目的への抵抗」國分功一郎著 (哲学)

以前にも紹介させていただいた國分さんの「暇と退屈の倫理学」のまた新たな視点での考察をした本になります。

内容紹介

自由は目的に抵抗する。そこにこそ人間の自由がある。にもかかわらず我々は「目的」に縛られ、大切なものを見失いつつあるのではないか――。コロナ危機以降の世界に対して覚えた違和感、その正体に哲学者が迫る。ソクラテスやアガンベン、アーレントらの議論をふまえ、消費と贅沢、自由と目的、行政権力と民主主義の相克などを考察、現代社会における哲学の役割を問う。名著『暇と退屈の倫理学』をより深化させた革新的論考。(アマゾンより)

Ryan McGuireによるPixabayからの画像

感想

タイトル「目的への抵抗」の時点で、また國分さんが面白いことを考えているなと、自分にはない発想がこの本にあると思い即購入しました。

①いかなる場合でも、それ自体のために或る事柄を行うことの絶対にない人間

②目的と手段の連関に冒されていない、人生のために人生を生きる、人生のために人生を愛する。

この①と②はおそらく対極にあるもの、そして現代社会では①であろうとすることが良しとされる世界である。

この本では大きな枠組み(世界、国、政治)での考察もあるが、そこは今回は省き、自分個人に置き換えて考えてみた。

自分が好きだなと思う人、この人にはあまり興味がないなと思う人、なんとなくそう思う理由がわかった気がした。人はそれ自体のためにそれを行う時、より真剣で目的を越えている。目的というものは最初のきっかけとして必ずあるものだが、ただその目的のためにすべての行動を行っている人はつまらなく見える。

「仕事の報酬は仕事」

昔、仕事の先輩に教えてもらった本の言葉。その時は良い言葉だしその通りだなと思いつつも、でも結局はお金だよなとやっぱり思ってしまっていた。実際、お金がないと生活していけないわけで、それが理由で転職もしたし、キレイごとだよなと思う。

目的のために動かないといけない時は生きているとたくさんある、だけど自分が楽しいと思える瞬間はいつも確かにあって、それはその作業に真剣に夢中に向き合っている時だなと思う。豊かに楽しく生きていくためにはこの真剣、夢中になれるシーンが多くあることが大事なんだろうなと思う。

学ぶこと、勉強することの意味もこの本を読んでいて少しわかったような気がする。

自分は全然勉強してこなかったし、今でも世間知らずで無知だとよく思う。だけど、何かのために学ぶのではなく、それを知りたいから学ぶことが「学ぶ」ということなのかなと思う。

学校や色んなところで教わる、興味のない、嫌だな、面白くない、と思って聞いていたことは「学ぶ」ためのきっかけ「目的」になり、それが真剣、夢中へと繋がっていくのではないかと思った。

だから、勉強をしてたくさんのことを知っている人は、真剣、夢中になるきっかけが多い人生になる、人生のために人生を生きる、人生のために人生を愛することができる。

この歳になってやっと学ぶことの楽しさ、その意味がわかってきた、こどもにもそのことを教えてあげたいなと思う。「暇と退屈の倫理学」とともに是非読んでいただきたい本です。

⑭「52ヘルツのクジラたち」町田そのこ著 (小説)

内容紹介

2021年本屋大賞第1位。待望の文庫化。

52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一匹だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。そのためこの世で一番孤独だと言われている。
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれる少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる――。(アマゾンより)

David MarkによるPixabayからの画像

感想

52ヘルツという特殊な周波数のため仲間たちに声が届かないクジラがいた。

たくさん仲間はいるのにその声は誰にも届かない。

その声なき声を聴けるのは、その声の存在を知っている者だけだ。

誰かが笑って過ごしている時、誰かは絶望の中で必死に生きている。

この物語を読むと自分にも、どの場面もあったなと思い出した。誰かに自分の心の声を見つけてほしくて、心の中でずっと叫び続けていたんだと思う。そしてその声は一人の人に確かに届いたのだ。

そして、見つけてくれたその人も同じように心の中で叫び続けていて、自分はその声を見つけたんだと思う。

自分は自分を見つけてくれた大切な人と一緒に生きることができて良かった、そして誰かの心の叫びに気づける人でありたい、この本を読んでそう思った。

⑮「正欲」朝井リョウ著 (小説)

PhilippによるPixabayからの画像

内容紹介

自分が想像できる”多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな――。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づく女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり始める。だがその繫がりは、”多様性を尊重する時代"にとって、ひどく不都合なものだった。読む前の自分には戻れない、気迫の長編小説。(アマゾンより)

感想

例えば、ひとつの道があったとして、みんなその道を真っ直ぐ進んでいく。遠くに見える光り輝くゴールへ向けて。その道には木が生えていたり、草が生い茂っていたり、様々な障害物があり真っ直ぐには進めない。みんな遠回りしたり、少しでも近い道を探して進んだり、様々な方法でその道を進む。

その道には落とし穴がある。とても深い落とし穴で、一度落ちたら二度と元いた道には戻れない。絶対に落ちてはいけないとみんなが噂する穴。ある日僕はその穴に落ちてしまった。その穴の中は薄暗くて先が見えない、元の道に戻りたくて出口を探す。暗闇に目が慣れてくるとその穴の中にもどこかへと続く道が続いていた。その道を進む途中で同じように穴に落ちた人と出会った。「僕もそこの穴から落ちたんです。」「僕はずいぶん前に落ちて今まで一人でさまよっていました。」「私は生まれた時からここにいました。」色んな人がいて、みんな暗闇の中どこに続いているのかわからない道を助け合って進んでいた。

僕は知った、地上の人たちが知らない世界がここにあることを。僕は思った、穴に落ちたことに絶望していたが、ここのみんなと出会えたことであの時穴に落ちて良かったと。穴に落ちたからこんなに大好きな人たちと出会えたのだと。

いかがでしたか、どの本も本当におすすめの本ばかりなので是非読んでみて下さい。ではまた次回。

プロフィール
桃あんこ姫&とみきち

夫婦で思い付いた事を書いています。
夫 とみきち 元書店員
本好き、サッカー(アーセナル)好き。
自分が読んできておすすめしたい本を紹介していきます。
アーセナルについても個人的な感想を書いています。

妻 桃あんこ姫
管理栄養士、料理好き、本好き、美容の事や育児、日々の事を載せたいと思います。

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